青いヤドカリはなぜ青い?色が決まるしくみと竹島水族館の展示

海・魚・生き物

愛知県蒲郡市の竹島水族館で、体全体があざやかな青色のヤドカリが展示されています。
ふつうはオレンジ色の種類で、青い個体は「数万匹に1匹」とニュースで紹介されました。

「どうして青くなったの?」「エビやカニの青色って、何の色?」と気になった人も多いはずです。

この記事では、青いヤドカリの話を入口に、エビやカニの仲間の体の色が決まるしくみを、海や生き物にくわしいカエルがわかりやすく説明します。ゆでると赤くなる理由も、実は同じしくみなんですよ。

青いヤドカリはなぜ青い?先に答えると

竹島水族館の青いヤドカリは、突然変異で生まれたと紹介されています。

エビやカニ、ヤドカリの仲間の色は、アスタキサンチンという赤い色素と、それにくっつくたんぱく質の組み合わせが大きくかかわっています。色素がたんぱく質と結びつくと、赤ではなく青っぽい色に変わるのが特徴です。

ザリガニの研究では、青い色は1つの遺伝子の変化で起きることがわかっています。そのうえで、青い個体は、青い色をつくるたんぱく質が増えるか、ほかの色が弱まったのではないか、という仮説があります。

ただし、竹島水族館のヤドカリについて、どの遺伝子がどう変わったのかまで調べられたという報道はありません(2026年10月13日時点)。ここから先は、甲殻類の色のしくみとして説明します。

竹島水族館の青いヤドカリとは?

CBCテレビ(2026年10月7日)によると、こんなヤドカリです。

項目 内容
種類 コブヨコバサミ
ふだんの色・大きさ オレンジ色。こぶしほどの大きさ
見つかった場所 2026年8月、静岡県の浜名湖で市民が見つけ、竹島水族館に持ちこんだ
珍しさ 突然変異で生まれ、数万匹に1匹しか出ないとされる。全国的にも珍しい
展示 竹島水族館(愛知県蒲郡市)の「近海の生き物コーナー」

いつまで展示するかは、報道では伝えられていません。見に行くなら、竹島水族館の公式サイトやSNSで確かめてから出かけると安心です。

エビやカニの色は「色素+たんぱく質」で決まる

エビ・カニ・ヤドカリなどの甲殻類の殻の色には、アスタキサンチンという色素がかかわっています。アスタキサンチンそのものは、ゆでたエビのようなオレンジがかった赤色です。

ところが生きているときは、この色素が殻の中のたんぱく質と結びついて、クラスタシアニンと呼ばれる色素たんぱく質になっています。結びつくと色の見え方が変わり、青っぽい色になるのです。

色素の状態 見える色
たんぱく質と結びついている 青っぽい色(エビなら青みがかった黒)
たんぱく質から離れる アスタキサンチン本来のオレンジがかった赤

ロブスターの殻が生きているときに濃い青色なのも、このしくみです。イギリスのマンチェスター大学の研究チームが、色素とたんぱく質が結びつくと青くなるしくみを明らかにしています(2015年)。

甲殻類がいろいろな色をしているのも、殻の中のこの色素たんぱく質によるものとされています(高知大学の研究)。

ゆでると赤くなるのも同じしくみ

エビやカニをゆでると赤くなるのも、この色素とたんぱく質の関係で説明できます。

食品安全委員会の子ども向けの資料では、アスタキサンチンはたんぱく質と結びついているときは青みがかった黒色で、熱を加えるとたんぱく質と離れて赤くなると説明されています。熱でたんぱく質の形がくずれ、色素が本来の赤色にもどるわけです。

つまり、ゆでたエビの赤は「もともと持っていた色素の色」。生きているあいだは、たんぱく質が色素の色を変えて見せているんですね。

青い個体が生まれる理由は?突然変異と色のバランス

では、ふつうはオレンジ色のヤドカリが、なぜ青くなるのでしょうか。

青い個体がよく調べられているのは、ザリガニの仲間です。2023年に甲殻類の学術誌(Journal of Crustacean Biology)にのった論文では、次のように紹介されています。

  • ザリガニの色の変わった個体の記録115件のうち、いちばん多いのが青い個体(82件)
  • 2種類のザリガニでは、青い色は1つの遺伝子の変化(両親の両方から受けついだときに現れる「潜性」の変化)で起きることがわかっている。ただし、どの遺伝子かはまだわかっていない
  • 青い個体は、青い色をつくるたんぱく質が多くつくられるか、ほかの色をつくるしくみが弱まっているのではないか、という仮説(これまでの研究にもとづくもので、これから確かめる段階)

色素を青く見せるたんぱく質の割合が増えたり、赤やオレンジに見せる部分が減ったりすると、体全体が青っぽくなる、というイメージです。

竹島水族館のヤドカリも、こうした「色のバランス」が変わったものかもしれません。ただし、ヤドカリでのくわしい原因は、この個体については調べられていません。

沖縄の「青いヤドカリ」はまた別のヤドカリ

「青いヤドカリ」で調べると、沖縄のヤドカリも出てきます。こちらは突然変異ではなく、もともと青い模様を持つ種類です。

名前 青いところ(沖縄美ら海水族館の図鑑より)
アオボシヤドカリ 赤茶色の脚や前甲に、あざやかな青い斑紋。これが名前の由来
ユビワサンゴヤドカリ 黒地の歩脚に青色のバンド。サンゴ礁のリーフエッジなど、波当たりの強い場所にすむ

竹島水族館の青いヤドカリは、ふだんはオレンジ色の種類なのに、体全体が青くなったところが珍しいポイントです。

子どもに聞かれたら?30秒で話せる答え

水族館やニュースで「なんで青いの?」と聞かれたら、こんなふうに話してみてください。

  • エビやカニの殻には、もともと赤い色のもとが入っているんだって
  • その赤い色のもとに、たんぱく質がくっつくと青っぽく見えるんだよ
  • 青いヤドカリは、生まれつき「青く見えるしくみ」が強くなったみたい。とっても珍しくて、数万匹に1匹なんだって

ゆでたエビを食べるときに「赤くなったのは、たんぱく質が色のもとから離れたからだよ」と話すと、食卓でも続きの話ができますよ。

深い海の生き物の色の話は、深海魚はなぜ赤い?深海で赤が「見えない色」になる理由と例外3つでも紹介しています。

まとめ:青いヤドカリは突然変異で生まれた珍しい個体。色は色素とたんぱく質の組み合わせで決まる

  • 竹島水族館(愛知県蒲郡市)の青いヤドカリは「コブヨコバサミ」。ふだんはオレンジ色で、2026年8月に浜名湖で見つかった
  • 突然変異で生まれ、数万匹に1匹しか出ないとされる
  • 甲殻類の色は、赤い色素アスタキサンチンと、それにくっつくたんぱく質の組み合わせで決まる。結びつくと青っぽく見える
  • ゆでると赤くなるのは、熱でたんぱく質から色素が離れるから
  • ザリガニの研究では、青い個体は1つの遺伝子の変化で起きることがあり、青い色をつくるたんぱく質が増えるか、ほかの色が弱まったのではないか、という仮説がある
  • 沖縄のアオボシヤドカリなどは、もともと青い模様を持つ別の種類

参考

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